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2014/11/19

ものづくりニッポン

まじめな話をひとつ。

ここ何年か、不況にあえぐ日本の製造業界について、”ものづくり大国ニッポン”的な押しで、再興させようとする勢がたいへん強い。しかし、その手の記事やプロモーションを見ると、その殆どがものを”造る”ところにフォーカスされていて、何となく納得できていなかった。

そんな記事を眺めながら、ふと個人的に納得がいった、違和感の根源について書いてみる。

日本の製品は優秀だ、他にはまねができないものだと、事ある毎に紹介されたり特集されたりしている。そういったものを見るに付け、ほんとそうだなぁと感心はすれど、ほとんどのその手の情報や番組は”造る”ところが主体となっている。

しかし、製品の優秀さ素晴らしさは、”造ったもの”が相手に手渡され、その”品質”が相手が求めていたものかどうかにかかっている。その”品質”が相手の求める完璧なモノ、また想定以上だった場合、初めて”優秀”で”素晴らしい”モノという評価が貰えるのではないだろうか。

たしかにフルオーダーメイドの一品モノの場合、作り手と依頼主の1:1の真剣勝負的な流れが多そうだが、少ロットでも、複数同じものを造らねばならない工業製品の場合、できあがった製品の品質の均一性が、歩留まりとしての利益だけでなく、製品の質を決めると言っても過言ではないだろう。

先の日本製品の良さを紹介する記事や番組の中でも、製品が出来上がる課程の中でちょいちょい完成品のチェック方法や、どうやって品質を安定させているかを紹介する部分が含まれているが、あまり”品質管理”的な観点での説明は入らない。

この品質管理という部分、とても日本人的な作業だと思う。

例えば、国内にある世界的に有名な化粧用ブラシの制作現場の紹介番組、見ていると製造の最終段階で束ねられた毛のチェックを刃物の刃先で撫でながら、外れの毛を取り除く作業。熟練の作業者の手慣れた行程だが、これは明らかに品質のチェックによる不良品の取りのぞきである。

やり方も紹介されているし、素材も海外に絶対無いというモノではない。しかし、海外でこれほどの製品がなかなか出て来ないのは、明らかにチェックする作業者の性質によるものではないだろうか。

また、別の番組で見た針工場でのチェック。これも束ねた針の中からわずかな光の加減を見て、不適合品を取り除く作業を黙々と続けていく。単価を考えれば、若干の不適合品が入っていたところで誰も気にしない様な部分でも手を抜かない(手を抜けないか?)。

こういう積み重ねが、利用者側の信頼感とさらに高精度な品質が求められる現場への利用へと広がり、ニッポンブランドの一翼を担っているのではないだろうか。

品質を管理するという面においては、物理的な物作りに限らず、コンピュータのソフトウェアでも同じ事が言える。

昔、外資系のソフトウェアベンダーに勤めていたころ、ソフトウェアの品質管理部門にいたことがある。その頃は、本国でリリースされた製品をローカライズ(日本語対応や日本独自の仕様追加)を行い、国内で販売していた。比較的余裕のある時代だったのか、国内開発エンジニアの2~3倍程度の人数で品質評価を行っていた。

品質評価チームは、何か動きにおかしなところを見つけると、本国版で確認し、不具合かどうかを確認した上で報告をあげる。このチームに配属されたときに最初に教えられたのは、”本国版を信用しちゃいけないよ”であった。結局のところ、本国版がどうであれ、日本の品質に適わなければ全て報告しろが方針だったのだ。

結果、国内の開発エンジニアへのみならず、本国側エンジニアへの報告も多々上がり、あの国は、1ドットのずれも許さないQA(Quality Assuerance)がいるという評価(善し悪しは別)をいただいた。

また、チェックする人たちも、微妙なずれの生じた結果を持ってきて、”こういうのが許せないの~”と度々レポートを上げてくるQAエンジニアも日本人っぽい神経質とも捉えられがちな性格的な部分も多々あったのではないかと今にして思う。

近年、品質がそこそこでも安く提供することで、ダメなら取り替えれば良いじゃないかという風潮が存在する。世の中の製品、たいていそうじゃないかと。

しかし、海外のユーザーが日本のクオリティを持った製品を好んで使う様が報じられるのを見るにつけ、でもみんな、そんなことには飽き飽きしてるんじゃないかと思う。

世の中、一巡し、やっぱりクオリティの高いモノは高く売れ、使い続けられ、しかもリピーターも確実に存在する。逆に安いモノでクォリティの低いモノは一時的は売れても、徐々に廃れていく。

”ものづくり”というものは、造る者とそれを検査する者がいて初めて成り立つ行為なんじゃないかと、改めて思う。

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